鳳凰三山の山バッジ

鳳凰三山は、山梨県の南アルプス北部に位置する山域で、地蔵岳、観音岳、薬師岳の三つの山で構成されています。地蔵岳の標高は2,764m、観音岳は2,840mで三山の最高峰、薬師岳は2,780mとなっており、いずれも標高2,700m台から2,800m台の高山です。日本百名山、山梨百名山、新・花の百名山などに選定されており、南アルプス国立公園の区域内にあります。

地蔵岳の山頂部には「オベリスク」と称される高さ約18mの巨大な岩柱が立っており、鳳凰三山を象徴する地形となっています。この岩柱は花崗岩からなり、遠方からも確認できる特徴的な形状をしています。地蔵岳と観音岳の間には「賽ノ河原」と呼ばれる場所があり、石仏が安置されています。古くから山岳信仰の対象とされてきた歴史があり、地蔵岳周辺では懸仏や古銭などの遺物が発見されています。

鳳凰三山の地質的特徴として、山域全体が花崗岩で構成されている点が挙げられます。花崗岩は風化によって白い砂礫状になる性質があり、稜線上には白い砂地が広がっています。この地質的特性は南アルプスの中では甲斐駒ヶ岳とともに例外的なもので、他の多くの南アルプスの山々とは異なる景観を作り出しています。花崗岩が風化して形成された砂地の稜線からは、富士山、北岳を含む白峰三山、八ヶ岳、秩父山系などの展望が得られます。

高山植物については、花崗岩質の土壌という環境的制約から、南アルプスの他の山域と比較すると種類や分布範囲は限定的です。しかし、この山域特有の植物として、ホウオウシャジンという固有種が生育しています。また、タカネビランジなどの希少な高山植物も岩場で観察することができます。8月頃がこれらの植物の開花時期となっています。

登山ルートとしては、夜叉神峠、青木鉱泉、御座石鉱泉、広河原などからのアクセスが可能です。夜叉神峠からのルートは稜線歩きが中心で、山小屋も複数設置されているため、南アルプス入門の縦走路として利用されています。青木鉱泉や御座石鉱泉からのルートは標高差が大きく、急登が続く行程となります。甲府盆地側からのアクセスが比較的良好で、登山口までバスの運行があります。

気候的特徴として、南アルプスの中では日本海側からの冬型気圧配置の影響を受けにくい位置にあるため、積雪量は比較的少ない傾向にあります。また、晴天率が高いことも特徴の一つとされています。

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