北海道の中央部を南北に貫く日高山脈の中で、最も高い山が幌尻岳（ほろしりだけ）です。標高は2,052メートルで、火山を除けば北海道最高峰にあたります。この山の名前は、アイヌ語で「大きい山」を意味する「ポロ・シㇼ」に由来し、古くからアイヌの人々にとって神聖な存在とされてきました。
幌尻岳の地質は、主に斑糲岩や角閃岩などの変成岩から構成されており、これは日高変成帯と呼ばれる地域に特有のものです。山頂付近には、氷河によって削られた「カール」と呼ばれる地形が見られ、これらは更新世の氷河活動の痕跡とされています。これらの地形は、氷河時代の地球の気候変動を理解する上で貴重な手がかりとなっています。
2024年には、幌尻岳を含む日高山脈一帯が「日高山脈襟裳十勝国立公園」として国立公園に指定されました。この公園は、南北約140キロメートルにわたる広大な範囲をカバーしており、幌尻岳はその中でも特に注目される存在です。山頂からは、連なる山々の景観を一望することができ、多くの登山者にとって魅力的な目的地となっています。
登山道は、額平川コースなどがあり、山小屋やシャトルバスの利用が可能です。ただし、登山には事前の予約や準備が必要であり、特に天候や装備に注意が求められます。また、山域内には多様な動植物が生息しており、自然環境の保護も重要な課題となっています。
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